病気やケガと向き合い、その人らしい生活を応援する“作業療法士”ってどんなことをする人?

【伊勢地域ニュース2021.3月号より】

 訪問看護ステーション「まごのて」作業療法士の宮下です。

 あなたが今、やりたいことを思い浮かべてみてください。もし病気やケガ等で障害を負い日常生活が不自由になり、したいことが出来なくなったらどうでしょうか。作業療法はこころとからだ、子どもからお年寄りまで、障害や年齢に関係なく日常生活に支援が必要な全ての人に関わります。作業療法の支援として対象者自身が「その人らしく」生活できるよう、一般的なリハビリのイメージである歩く練習や筋力トレーニング以外にも、日常生活を実際に行いながら動作を獲得していく方法、生活環境の調整や道具を用いて日常生活を支援する方法など、様々な方法を提案・実践しています。私が作業療法士として、実際どのようなことをしているかを紹介させていただきます。

「転倒の危険性がある中で、近所を歩きたいAさん」への支援

 以前転倒されたAさん。また転ばないよう自宅内で何か興味のあることをするのも一つですが、Aさんはこれからも近所を歩き回りたいとのことでした。近所を歩くことにこだわる理由が何かあるはずです。作業療法士は、その理由を丁寧に聞き解明していきます。

 お話を聞くと以前Aさんは、住んでいる団地の様々な看板やゴミ集積場の網の塗装等を行っていたそうです。今でも塗装が剥げていないか、近隣の空き家は葉っぱで汚れていないか、団地のことが気になり近所を歩いていたことがわかりました。自分が長く住んだ町に自分が作った看板があり、昔から付き合いのあった家が今は引っ越してしまい空き家になっている。理由を知ると、それらを気にして見回るAさんの気持ちに納得しませんか?

 さて作業療法士である私が、Aさんのリハビリで何をしたでしょうか?まずはもう一度転倒しないよう歩行訓練などを行いました。歩いている様子が安定してきたら、Aさんと一緒に近所を歩きながら、団地で会う近隣の方に「Aさんがこんな理由で歩いているので、危険な行動や困っていたら声を掛けてあげてください」とお話しさせていただきました。団地のみなさんにも見守っていただき、安心して団地内を歩けるように環境を整えました。 作業療法では対象の方に対してだけでなく、時には補助となる道具を使い、時には周りの環境を変え、周りの方の協力を得ながらその人なりの、その人らしい生活ができるようにサポートさせていただくリハビリの一つです

お問合せ

訪問看護ステーション まごのて ☎ 0596-23-2332

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