【荒木所長からのおたより】「コロナウイルスのワクチンについて思う」

【伊勢地域ニュース2021.6月号より】

 早いもので、診療所で働き始め1年が過ぎようとしています。とても忙しいですが、本当に充実した毎日を送ることができ感謝しています。いよいよオリンピック開催予定日が近づいてきました。「是非開催を」といった肯定的な意見よりも、コロナウイルスが収まらない状態で開催すべきではないという否定的な意見が多いのでしょうか。思い返すと2013年に今回の東京オリンピック招致のため滝川クリステルさんが有名なスピーチをされました。覚えていますか?日本の「もてなし」精神を説明したのです。日本人の「人を思いやる心」は世界的にも知ってもらいたいポイントで、「おもてなし」もそれにあたるのではないかと思います。素晴らしい世界の選手たちが競い合うのはもちろん、世界に開催国を知ってもらうこともオリンピック開催の意義の一つです。もし開催されるなら、放送を通じてでも世界の国の人たちに日本人の良さを知っていただけるといいですね。

 またオリンピックの為ではないですが、日本でもコロナウイルスに対するワクチン接種が進んでいます。副反応に対する報道がやや過剰であった影響でしょうか、「ワクチンを打っても大丈夫ですか?」とよくご質問を頂きます。過去にコロナワクチン成分に対してアレルギーを起こしたことがある人が打てないのですが、今回のコロナワクチンはみんな初めての経験ですから、これに該当する人はいないことになります。しかし、1回目を打った後でもし何かアレルギー反応が起きてしまった場合、2回目は打たないほうが賢明です。まだまだ迷っている方も多いので、僕なりにワクチン接種の意義をお伝えさせてください。

 一つ目の意義は、自分がコロナウイルスに感染する可能性を減らし、もしかかっても重症化しないようにするためです。持病がある方は、もしコロナウイルスにかかってしまうと命にかかわる可能性もありますから、これだけでもワクチンを打つ意義はあります。

 そしてもう一つの意義は、世界の子供たちのためです。コロナウイルスが流行してからの1年少々、本当に自粛続きでした。旅行に出かけたり、家族や友人と食事を楽しんだり、買い物に出かけたり、たくさんの自由が失われました。時間は誰にとっても同じですが、小学生、中学生、高校生のこれからの未来を担う子供たちの1年間は、僕の1年間と同じと言えるでしょうか?僕は違うと思います。考えてみてください、みなさんもたくさんの年月を重ねられたと思いますが、子供時代の思い出は今でも鮮明に残っていませんか?みんなで一緒に勉強したこと、遠足に出かけたこと、修学旅行に出かけたこと。多くの人にとって一番多くの思い出が作られる大切な時代です。そんな時代が失われるのは、とてもかわいそうだと思いませんか?ワクチン接種という形で大人が協力し、コロナウイルスの世界的な鎮静化に努めることで、子供たちの大切な時代を早く取り戻してあげられないでしょうか?そんな考えも、日本人らしい「人を思いやる心」に繋がるのだと思います。少し心配だけどワクチンを打った方、これから予定されている方、それは決してご自身のためだけでなく、みなさんのその行動が地域に生きる大切な子供たちのために、非常に役に立っていると胸を張っていただきたいです。

(文・伊勢民主診療所所長 荒木 潤)

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