津地域委員会ニュース きずな 2022年1月号
井岡大義 先生(医師)
連載でお届けしている『医療生協発足60周年』企画。
今月は、白塚診療所の産婦人科医として長年「赤ちゃんに優しい病院」づくりに取り組まれた、井岡大義先生の登場です。
■大阪から三重へ
私が津医療生協にお世話になったのは、昭和57年でした。それまで大阪堺の民医連の耳原総合病院産婦人科で働いていました。津医療生協は学生時代(三重県立大学)から柳山診療所に出入りしたり、先輩や仲間も多く、里帰りした気分でした。
■白塚診療所の開所
津生協病院を中心に、南に高茶屋診療所、北にも診療所をという希望で昭和60年に白塚診療所が開設されました。オープンに至るまで草深事務長を始め理事さん、組合員さんたちが地域に入り組合員拡大等、大変なご苦労をされていたことを思い出します。診療所の内科は、今は亡き鬼頭先生、小児科は堀内先生、産婦人科は私という医師体制で出発しました。色々苦労もありましたが、スタッフの頑張り、組合員さんの協力で乗り越えられたと思います。
■舞台の主人公は赤ちゃん
白塚診療所のお産で大切にしたことは、『産まれたときから母子が一緒にいる』『赤ちゃんが欲しがるたびに飲ませ、母乳で育てる』『できるだけ自然なお産を』『お父さんもお産に参加を』でした。
私たちが気をつけたことは、主人公を間違えないということです。お産という舞台で主人公は赤ちゃんで、副主人公はお母さん、脇役にお父さん。医師、助産師、看護師は舞台を支える黒子です。医療者がでしゃばりすぎないようにしました。その取り組みが評価され、平成11年にユニセフから全国14番目の「赤ちゃんに優しい病院(BFH)」に認定されました。
■これからの皆さんへ
これから医療生協を支える皆さんには、疾病との戦いという舞台での主人公を間違えないようにして欲しいですし、疾病を生み出したり、予防・治療を妨げる気候変動や貧困・格差などの社会という舞台も見据えていただきたいと思います。